■学校長挨拶

 新型コロナウイルス感染拡大防止,児童の安全確保の対応から,令和2年3月2日より,学校休業が断続的に行われ,日常的な学校の教育活動ができない状況が続いています。そのような中,子ども達にのとって安全確保と学びの保障・継続を考えた対応を学校の責務と考え,様々な取組を試行しています。

 このような出口が中々見えない現状ではありますが,学校としてどのようにこの危機を乗り越えていくかが問われています。私は,大切な事は,この危機を単なる危機ととらえるのではなく,チャンスととらえる発想の転換ではないかと思うのです。これまでの学校のあり方を問い返し,様々な状況に耐えうる学校づくり,学びづくりを進め,新たな教育観に立った取組を,学校と家庭・地域が一つとなって考えていけたらと思います。

 さて,令和2年度の学校教育目標具現の重点として,「志を持って 自分から 一歩前進」を据えました。昨年度の重点に「志しを持って」という部分を付け加えました。4月6日の1学期の始業式では,この志しについて子ども達に話をしました。

 「志」とは,単に自分の願いと言うのではなく,「相手の事を思う気持ち」と説明しました。

 昨今○○ファーストという言葉が何のためらいも無く使われ,耳にします。自分中心,人と人との関係性を壊す風潮が当たり前になりつつあるように思うのです。そのような風潮が,今回のコロナウイルスの感染が広がる中にも多く見られました。不要不急の外出の自粛を無視して,行動する人々,根拠の無いうわさに翻弄され買い占めに走る姿など。そのような現実を見ている子ども達は,自分の未来にどのような希望を感じているのでしょうか。

 このような時だからこそ子ども達には,自分意識以上に他者意識を大切にし,判断できる心の優しさと柔軟さを持って成長して欲しいと考えます。

 イソップの寓話に「3人のレンガ職人」の話があります。ご存じの方は多いかと思います。3人目の職人は旅人の問に, 「私は,レンガを積んで,後世に残る“大聖堂”を造っているんだ。」と答えます。この職人には,大聖堂を造り町の人たちを幸せにしたいとの願いが感じられます。

 ぜひ,そのような大志をいだける子どもたちを,私たち大人の責任として育てていきましょう。

 次代を担う,地域の宝「豆っ子689名」が,心豊かで逞しく成長し地域の担い手となれるよう,保護者や地域の皆様の熱い思いとお支えを糧とし,全職員が力を合わせ信頼される学校づくりを進めたいと考えています。どうぞご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。

大豆島小学校長 久保田 学