学校長より

式 辞

山の残雪は少しずつその形を変え、季節の移ろいを感じさせてくれます。雪の下からほのかに見える野の草の緑が、より鮮やかに感じられる、このよき日に、ご来賓や保護者の皆様のご臨席を賜り、令和四年度長野市立戸隠中学校の入学式が挙行できますことを、厚く御礼を申し上げます。

新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。
 壇上から見えるみなさんの顔は、緊張感に満ちていて、とてもすがすがしく感じられます。背を真っ直ぐに伸ばした姿勢に「今日から戸隠中の生徒として頑張ろう」という意気込みを感じ、心強く思いました。
 中学校生活は、長い人生の中で、最も伸び盛りの、大切な時期です。一日も早く中学校生活に慣れ、充実した毎日をおくって欲しいと願っています。今までの殻にとらわれず、新しい自分を見つけ、また、友達の素晴らしいところに学び、自分を鍛え、互いに切磋琢磨し、本校を卒業する時「戸隠中学校に来てよかった」「戸隠中学校で学んだことを誇れる」と、実感できるように頑張ってください。

本校は、学校目標を「己に克つという強い意志を持ち、粘り強く最後までやり抜く」と掲げ、教職員・在校生が一丸となって取り組んでいます。そこで、今日から本校の生徒としてスタートを切る一年生、そして 二、三年生の皆さんに、次の三つのことを希望します。
 一つ目は「高い志をもつ」ということです。
 ルネッサンス期の芸術家・ミケランジェロは、「人間にとって最大の危険は、高い目標を掲げて失敗することではない。低い目標を掲げ、それを達成してしまうことだ」と教えています。夢や目標なくして、本校の三年間は、充実したものにはなりません。中学校卒業後の将来を見据えて、勉強にも部活動にも、高い目標・高い志をもち、それぞれの夢の実現に向けて前進してください。
 二つ目は「自分を鍛える」ということです。
 中学校では、「教えてもらう」から「自ら学ぶ」へと変わらなければなりません。授業でも家庭学習でも、与えられるのを待っていては、前に進むことはできません。難しくても、つらくても、やるべき事をやらねばなりません。自分を甘やかさず、常に厳しく、学び続ける姿勢が大切です。南方の暖かい地域で育った樹木は、木に締りがなく、木材としての評価は低いとされます。気温が高く雨の多い気候は、木が育つ条件として、恵まれ過ぎているからです。一方、日光が乏しく、厳しい寒さに直面する北国の樹木は、木が締り、良質の木材に成長します。人もまた同様です。難しいこと、苦しいことに出会ったら、自分を鍛えるチャンス、一段と成長するチャンス、と前向きに考えてください。そして自分を鍛えることを通して、学ぶことの厳しさを感じ、学ぶ喜びを味わってください。
 三つ目は、「挑戦する」ということです。
 今から40年前、少年は大きな夢を掲げて留学を志しました。しかし、彼をよく知る人から「お前は99%無理だ」と反対されてしまいました。すると、彼はこう返しました。「可能性は1%あるんですね。じゃ、僕はその1%を信じます」少年の名はカズ。後に日本サッカー界を長くけん引していく三浦和義選手です。15歳で単身ブラジルへ渡り、日本人サッカー選手の歴史を幾度も塗り替えました。三浦和義選手は「常に何かに挑戦していれば輝きは失われない。挑戦してその結果が成功だとか、失敗だとかではない。挑戦した時がもう成功と言えるのではないだろうか」と、述べています。新しい季節、新しい学年、皆さんも困難なことや苦労もあるでしょう。しかし、皆さんはその困難に打ち克ってほしい。三浦選手のごとく「常に何かに挑戦していれば輝きは失われない」の言葉の通り、挑戦し続ける生徒であることを期待しています。

 保護者の皆様、本日はお子様のご入学、誠におめでとうございます。私ども微力ではございますが、お子様の健やかな成長のために力を合わせ、精いっぱい尽くしてまいります。今後とも本校の教育活動にご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 最後になりましたが、ご来賓の方におかれましては、ご多用の中、ご臨席賜り、誠にありがとうございました。高い席からではございますが、心より御礼申し上げます。先行き不透明な、難しい時代を迎えております。そんな中、生徒たちが、しなやかに、そして、逞しく成長していけますよう、今後ともご支援の程、よろしくお願い申し上げ、式辞といたします。

 

令和4年4月6日 (入学式 式辞より) 

 長野市立戸隠中学校長 竹腰 益臣

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