校長講話C H27、9、30 「自分の夢」
 今日は、「自分の夢」についてお話します。(写真提示)
 この写真の人は誰でしょう?この写真の人は、ビアニストの辻井伸行(つじいのぶゆき)さん26歳です。この辻井さんは、6年前にアメリカで開かれた有名な「バン・クライバーン国際ピアノコンクール」で優勝しました。20歳という若さ、日本人で初めて、そして全く目が見えないという障害をもった人が、難しい有名なコンクールで優勝したので、日本中いや世界中が驚き喜び感動しました。
 ピアノを弾くということは、まず指で鍵盤「ドレミファソラシド」がどこにあるのか覚えて曲を弾きます。それにピアノは「白い鍵盤」と「黒い鍵盤」があります。鍵盤を見ないでピアノを弾くことは、大変なことです。また、曲を弾く時には、必ず「楽譜」があります。まず、楽譜を見ながら弾きます。だんだん弾けるようになると、「暗譜」といって曲を暗記して弾きます。でも、鍵盤を全然見ないで弾くことはなかなかできません。どうやって辻井さんは弾けるようになったのでしょう?
 目の見えない人の中には、生まれた時に目が見えていて、何かの病気で見えなくなった人もいます。辻井さんの場合は、生まれた時から全く目が見えませんでした。お父さんは、「この子は生まれてきて、よかったのだろうか?」と苦しみました。歩き始めるのも言葉を発するのも、みんなよりも遅かったそうです。でも、ご両親は目が見えなくても、感じ取れる風の音等たくさんの音を聞かせました。お母さんは、「息子のできないことを嘆くよりも、息子のできることを伸ばしてやりたい。」と心に決めて育てました。2歳位の時、お母さんが口ずさんで歌っていた「ジングルベル」の曲を耳で聞いて、おもちゃのピアノでその曲を弾いたというのです。「この子は、目が見えない分、耳が敏感なんだ。」と感じたそうです。4歳になった時、ピアノのレッスンに通わせました。辻井さんは、ピアノを友だちのようにして、どこへ行くにもいつでも小さいピアノを持って歩きました。
 「点字」といって、楽譜にも点字用楽譜があるそうですが、それを読んでピアノを弾くということはとても大変だそうです。辻井さんは、「聞く楽譜」で学びました。ピアノのレッスンをしてくれた先生は、左手の曲右手の曲、両手を合わせた曲を順番に聴かせて、耳で聞いてピアノを弾く「暗譜」の方法で覚えさせました。
 辻井さんは、1日11時間という練習の努力が実って、コンクールで優勝できたのだと思います。人間一人一人、優れた点もあります。反対にあまり得意でない点もあります。自分の得意なことを伸ばしたり、得意ではないことを努力すること、続けることによって実は苦手なことが得意になることもあります。今回辻井さんは、私たちに素晴らしい演奏を聴かせてくれたと同時に、「努力すること」「続けることの大切さ」を教えてくれたように思います。「たくさんの人に自分のピアノ演奏を聴いてもらい、たくさんの人に感動を与える演奏をすることが夢である。」と語っています。
 ぜひ皆さんも、何か自分で「続けること」「努力すること」そして「自分の夢」の実現をさせてほしいと思います。これでお話を終わりにします。