■中条保小中一貫教育プロジェクトの発足と願い

中条保小中一貫教育は、保育園から中学校まで同じ集団の中で過ごす子ども達に、系統的な教育活動を意図的・計画的に保証しようとするものです。

これまで(平成21年度年まで)、中条という小さな地域(旧中条村)の学校でありながら、保育園・小学校・中学校においては、各校種ごとそれぞれの目標や方法により教育活動を展開していました。そこでは特に小学校から中学校の接続場面での継続性や系統性が希薄だったのです。このような中、小学校から中学校へ入学したとたん、教科担任制や教師とのかかわり方、日課や学習内容の量と質など、教育環境が著しく変化することに子ども達は否応なしに対応しなければなりませんでした。この段差が、心理的にも身体的にも大きな負担となっていたのです。実際、平成14年以降、このことが原因による中学の不登校・不適応が延べ十数名に上っていました。

この状況に対し、小学校では中学の画一的で威圧的な指導に不満を持ち、中学では「基礎・基本の学力の定着」「基本的生活習慣の定着」について小学校への不満を持つという相互不信感が少なからず存在していたのではないかと思います。もっとも、このような状況は中条だけではなく、これがむしろ全国一般的な傾向だと言えるでしょう。

では、小中共にそれぞれが一生懸命に取り組んでいるのになぜこうした問題が起こってしまうのでしょうか。その原因は、小学校と中学校に存在する学校文化の相違にあるという他はありません。耐性が低下している現在の子ども達は、小中の文化の相違が生み出す構造的なギャップを乗り越える力が昔に比べ圧倒的に弱くなっているのです。このことを踏まえ、私たちは両者の文化の違いを理解し、その良さと欠点を踏まえつつ接続をスムーズにしていくことが必要だと考えました。

さらに、保育園から中学校まで同じメンバーの子ども達が学ぶのに、先生によって授業観や学力観があまりに違っていたり、教育方法の隔たりが大きかったりすれば、子どもや保護者は戸惑うばかりです。このような状況に鑑みて、先生が替わっても一定のレベルの教育が保証されるシステムとして、保小中一貫教育の必要性が生まれてきたのです。これは私たちにとって未知の経験であり、大いなる挑戦でもありました。

この一貫教育を推進するため、私たちは旧中条村の教育委員会のご指導のもと、平成21年10月に第一回準備委員会をもち、それから約5ヶ月の準備期間を経て、平成22年度から本格的にスタートしました。6つのプロジェクト(教科研究、中1ギャップ解消、行事・児童会・生徒会交流、ふるさと学習、健やかな心と体、保小・保中連携)のいずれかに全職員が所属し、それぞれの計画にしたがって活動を行ってきました。準備期間が短かったこともあり、不備な点や課題も多く生まれましたが、保小中の職員の交流が深まり一貫教育への意識の高まりが見られたことが一番の成果であったと思います。加えて、各プロジェクトの実施を通して、子ども達の生活や学習の様子が少なから ず変容してきたこと、家庭や地域の理解が深まり協力をいただいたことも大きな成果であり、「地域が学校である」という体制づくりの一歩が踏み出せたのではないかと思っています。

平成22年度中条保小中一貫教育のまとめより
(H22プロジェクト会長  赤羽根 直樹 中条中学校長)

※ 2018 年度より名称を「中条保小中連携型一貫教育プロジェクト」としました。