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ねころんで 取れるほどいた いなご取り
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昔は春、夏、秋、田んぼやその周りには、さまざまな生き物がいっぱい見られたものです。今は、そうした生き物がめっきり少なくなってしまいました。おそらくいろいろな農薬や化学肥料がたくさん使われるようになり、生き物が住みにくくなってきたのでしょう。
秋、稲が実るころ、昔の田んぼには、赤とんぼやバッタの類などさまざまな秋の虫がいっぱいいました。中でも一番たくさんいたのが『いなご』です。いなごは害虫で、せっかく穂を出した稲にとりついて、大事な葉を食べてしまいます。大人にとってはやっかいなものでしたが、子どもにとってはかっこうの遊び相手になりました。子どもたちは、いなごをつかまえるのに苦労しませんでした。この句のように、つかまえてもつかまえても、いなごはそこらじゅうにとびはねていたからです。それどころか、その辺にねころんでいても、いなごのほうからとんでくるほどたくさんいたからです。
取れたいなごは、つくだ煮にして食べるとおいしく栄養もあるので、よく食卓にのぼったものです。